今日で映画公開から3週間を迎えました。来週26日(金)で上映終了する劇場も確認しています。
まだ観てないという方も、まだまだ観たいという方も、お早めに…。
これまでのネタバレ記事
・脚本家Q&A
・DOSSIERSの紹介
・ST1.1 (1) イースターエッグ編
・ST1.1 (2) 設定編
以下ネタバレです。
★カークの名前ジェームズがウィノナの父、ミドルネームのタイベリアスがジョージの父、つまり父方と母方の両方の祖父にちなんで名づけられたことが、初めて設定されました。
TOSではミドルネームのイニシャルが「T」ということだけは明らかになっていましたが (「光るめだま」では、なぜかR)、実際にタイベリアスだと初めて言及されたのは映画ST6「未知の世界」でした (一応まんが宇宙大作戦=TAS「分解宇宙人ベム」の方が前)。
★なぜかカークが崖っぷち…というシーンがやたら多いですね。
★カークの父親ジョージ、母親ウィノナの名前が初めて明らかになりました。どちらもダイアン・ケアリーの小説 "Final Frontier" (1988年) で導入され、正史に「昇格」したものです。もっともジェームズの兄ジョージはTOS「デネバ星の怪奇生物」に登場しているので、そちらをジュニアとしたんでしょうね。
★ジョージが船長だったのは12分間。小説版では20分になっています。でも日本語版だけですが。
★ウィノナがケルヴィンにいたのは、脚本家によれば「彼女も宇宙艦隊士官だから」とのこと。実際、少年カークが車で暴走するシーンの原語では、義父が「ママが地球にいない (off-planet) 時に」と話しています。
★幼いスポックがいじめられるという描写は、TAS「タイム・トラベルの驚異」にもありました。吹き替えで少年スポックを演じていたのは、あの野沢雅子さんです。
★スポックは映画ST2「カーンの逆襲」でも、宇宙艦隊アカデミーの教官でした。
★ネロの船に向かうパイクから代理船長に任命され、ドアが閉まった直後にスポックが片眉を上げています。従来からおなじみの癖です。
★マッコイいわく「離婚して残ったのは骨 (ボーンズ) だけ」。sawbones 略して bones は外科医の俗称であり、カークがマッコイを呼ぶニックネームとしておなじみです。最近の海外ドラマのタイトルにもなってますね。
なおTOS吹き替えでは、当時多かった「なるべく呼称は統一する」方針により、ボーンズという呼び名が使われたことは一度もないと思われます。
★マッコイの離婚という件については、「離婚して一人娘がいる」というある種の裏設定が以前からありました。TOS「宇宙に漂う惑星型宇宙船」でも匂わせてはいますね。また娘ジョアンナについては、TAS「変身! ベンドリア人の怪」で触れられています。
★飛行恐怖症のマッコイ、従来では転送を嫌う描写が幾度となくありました (TOS「宇宙の帝王」など)。
★TOSはカーク、スポック、マッコイの3人が中心であり、その他のキャラクターは脇役でした。これは時代の違いもありますが、TNG以降の「レギュラー全員が主役」的な描き方とは大きく異なる点です。スコット、スールー、ウフーラ、チェコフまでを便宜上レギュラーキャラ扱いすることが多いですが、これはむしろ後の映画版での扱いに準じたものであり、TOSのオープニングでクレジットされているのはシャトナー=カーク、ニモイ=スポック、ケリー=マッコイだけでした (しかも第1シーズンはケリーすらエンディングに表記。ただし旧・日本版オープニングは異なります)。
よって、ビッグ3以外の4人は人種や訛りの特徴こそ際立っていたとはいえキャラづけも弱く、単なる○○(役職)に過ぎない描写が普通でした。
新作映画ではその4人にも、数少ない特徴を「増幅した」とでもいうべき処置によって、特徴あるキャラクターに仕上がっています。
スコットは従来から三枚目の面がありましたが、ますます磨きがかかっています。スコットランドなまりということで、個人的には聞き取りがとんでもなく難しいですね。ロシアなまりのチェコフの比ではありません。
スールーは「フェンシング」のほか、空手のような動きを見せたことがありました。新作では肺線虫にかかったマッケナの代わりとして操舵士につきます。接近戦に自ら志願し、折りたたみ刀を使いこなします。この刀は、日本人としてはいろんな意味で(?)溜飲が下がるものがありました。やっぱりヒカルはヒカルです。
チェコフはスポックの代わりに、科学コンソールについている描写がありました。そこから若さも強調され、科学に強い天才少年に。役職はナビゲーターですが、なぜかパンフレットでは「副操舵士」となってます。
そしてウフーラ。TOS「セイサス星から来た少年」では、娯楽室でスポックの演奏に合わせてスポックについて歌い上げていました。双方とも楽しそうにしていたのが印象的ではあります。「惑星M113の吸血獣」での2人のやり取りもありましたね。面白いことに、TOSの旧日本版 (CS放送分など) では両方ともカットされた部分でした。
新作映画でスポックとウフーラが恋人同士になっているというのは、ビックリした方も多かったでしょうね。候補生が配属されるシーンで、スポックがウフーラに「贔屓になる」というセリフによって、「ん?」と思うように仕込まれています。
★ウフーラのファーストネーム「ニヨータ」が、初めて明らかになりました。
ただ設定上は以前からあり、小説などでは明記されているものも多数あります。
この辺は、スールーのファーストネーム「ヒカル」の経緯と似ていますね (ST6で初言及)。
今作でファーストネームのネタが出てきた時、私は結局最後までわからないと思っていたのですが、まさかああいう使われ方をするとは…。
なおウフーラの名前はTOSでも触れられていたように、スワヒリ語で「自由」を意味する uhuru に由来します。そして nyota は同じくスワヒリ語で「星」を意味します。
……ファーストネームが「星」の、女性の通信士。あ〜、なるほど。
★マッコイ「君は何歳だ?」 チェコフ「17歳です!」 マッコイ「あ、17歳ね…」
妙に笑ってしまうこのシーンで、チェコフが2241年生まれということがわかります。従来では2245年生まれでした。
スールーと共にチェコフも最初からエンタープライズにいたので、マッコイたちのように候補生上がりかはわかりませんが、何にせよ神童だったようです。
★各キャラクターの階級は、ほぼ全てTOSから踏襲されています。
階級は制服の袖部分にある、線状の記章で区別されます。TOSでは破線が使われていましたが、新作では代わりに細い線になっています。
大佐は太線2本の間に細線1本。パイクと、ようやくラストで金制服を着たカーク。
中佐は太線2本、スポック。
少佐は太線1本と細線1本、マッコイとスコット。
大尉は太線1本、スールーとウフーラ (ウフーラは半袖のためわかりませんが、大尉と呼ばれています)。
少尉は何もなし、チェコフ。
なお中尉は細線1本になるでしょうが、TOSでも基本的には存在しません。
候補生だったはずのマッコイはドクター・プーリが死んで医療主任になるずっと前、着任直後から少佐の制服です。ウフーラも普通に大尉になっており、すでに出発前のスポックとのシーンでそう呼ばれているような…? よっぽど優秀だったんでしょう。
ということは、カークも普通に着任していれば、最初から少尉より上の階級になっていた可能性もありますね。これでラストのビックリ特進の理由づけになる…かも。
★精神融合のシーンの最後付近で、ネロが仲間を集め…という映像があります。これが脚本家Q&Aで紹介した、ルラ・ペンテにいたというカットシーンの名残です。
予告編第2弾でラストを飾っていた "The wait is over." のシーンも、結局ありませんでしたね。
★アイオワのバーで、パイクが注意を引くために使った口笛。ボースン・パイプ (ボースンコール、サイドパイプ) を使って、もしくは通信で、同じ音を出すシーンが従来もたくさんありました。
★スポックの父サレク (劇中では未呼称? TOSの吹き替えでは「サレック」) が少年スポック話す、アマンダと結婚したのは「論理的だったから」。TOS「惑星オリオンの侵略」でも、そのように答えていました。
スポックがヴァルカン科学アカデミーに入らなかったというのも、同エピソードで導入された設定です。
★スポックの母はアマンダ・グレイソン (同じく劇中未呼称?)。姓もクレジットにはあり、正史で設定されるのは初めてではないかと思われます (TAS除く?)。演じるのは今回の俳優の中でも知名度が高いと思われる、ウィノナ・ライダー。予告編には妊娠中の若いシーンがありましたが、結局残ったのは老けメイクだけということに…。

★全身緑色の女性ゲイラは、オリオン人という種族です。早くもTOS製作第一話で描かれた異星人ですが、あまりにも特異なその風貌のせいか、TNG以降のシリーズではセリフで出てくる程度でした。ようやくENT最終シーズンでは何度か扱われ、初めて本物の男性も登場しました。これまではどちらかと言えば敵対種族としての扱いが多かったですが、今回は普通に候補生になっています。
最終的に含まれなかったシーンでは、コバヤシマル・テストの裏でカークに加担したのがゲイラということになっています。小説版では描かれています。
★星々を背景にしたメインクレジットでは、俳優の名前は姓のアルファベット順に紹介されています。ただパインとクイントの前は、「タメ」が入っていますね。また、バナとニモイだけは特別扱いです。
そのほかに脇役として紹介される俳優は、最初の2人がジョージ&ウィノナ・カーク役。次の3人はアイエル (ネロの副官)、ケルヴィンのロバウ船長、ゲイラ役です。
★医療室でマッコイが、チャペルの名前を呼びます。返答もありますが、姿は登場しません。
クリスチン・チャペルはTOSで何度も登場した看護婦…看護師であり、今作でもコンピューター音声を担当した、故メイジェル・バレットが演じていました。スポックに思いを寄せている描写も見られました。
★スコットと一緒にいた、今作のマスコット的異星人の名前は Keenser。本編では少なくとも字幕にはなく、言及されていないかもしれません。小説の邦訳では「キーンサー」となっています。俳優はディープ・ロイで、「チャーリーとチョコレート工場」では一人165役を演じました。
★カークの聴聞会に列席しているアジア人風の提督は、引きの画で「CHANDRA」という名札だとわかります。
TOS「宇宙軍法会議」にチャンドラ大佐が登場しており、今回ファーストネームが Nensi と書かれているそうです。
★ケルヴィンに乗っていた異星人クルーは、インテルの提携サイトによると Alnschloss K'Bentayr という保安部員です。ベータ宇宙域の惑星 Monchezke 生まれとなっています。
★クレジットにある Hannity という人物は、エンタープライズのクルー。パイクがU.S.S.トルーマンに連絡するように命じた際、通信できないと報告した金制服の人物です。